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『点る』 小林苑を 

  • 2011/11/27(日) 18:31:48

『点る』 小林苑を ふらんす堂 2010年初版発行

何度か通読。通読といっても、ぱらぱらと散歩するみたいに。
好きな句に付箋をつけて読む。思ったことを付箋に書き込んだりしながら。
毎回ページを開くたびに少し違う風景がそこにある感覚。
ときどき、いやしょっちゅうかもしれない。なぜこの句に付箋がついていて
こっちの句についていないのだろうか、と思う。読むときの体調や時間帯
や気分などで、読むという行為の知覚は微妙に変化するのだと思う。
とまれ『点る』は楽しい散歩道だ。

以下とりとめのない所感を少し。


 空室の壁に麦藁帽子の黄

 天道虫飛んでしつかり朝御飯

 横濱茶房白南風の映る匙

 赤茄子をがぶりと休暇始まりぬ

 群青の水着から伸び脚二本

まず鮮やかで優しい麦わらの黄色が目に飛び込んでくる。
ページをめくると見開き2ページで次の四句。白南風(しろはえ)は梅雨が
明けて明るい初夏の南風のこと。赤茄子はトマトのこと。
カラフルで明るい夏。すでに、いい散歩道だなあと思う。

 干蒲団から猫が出て母が出る

いいですね、このスナップショット。シャッターチャンスをよくとらえている。
見てすぐ理解できる微笑ましい瞬間の風景。
『点る』はこんなスナップショットがたくさん。
例えばこんな感じ。

 鳴り止んでしまふ電話や夜の秋

 風鈴のちりんと季節裏返る

 回覧板蜜柑の匂ひして届く

鳴り止んだ後の静けさ、秋の夜ではなく夜の秋。
風鈴の糸の先の紙が晩夏の風を受けてひらり。
回覧板という日常感というかアクチュアリティ。

 淋しくてまるまつてゐるかたつむり

 村ひとつ午睡してをり草に風

 捨案山子これが空かと見てをりぬ

かたつむりになる、晩夏の閑村になる、捨案山子になる。
アクチュアルな風景に点在するフィクショナルな擬人化に
不思議なリアリティが生まれる。
まさに変身する遊び。いや、変装の遊びか。

 変装の遊びに倦んで桜貝

飽きて今度は桜貝。きれい。

 目をつむる遊びに桜蘂降れり

どんな遊びだろうか。その遊びの最中に盛んだった春の終焉を告げる
桜蘂が降るのだ。花弁ではなく無数の蘂が。無邪気な遊びなのに、
エロスとタナトスを想起するのは、私だけだろうか。

 背泳ぎのひとりぽつちといふ浮力

空しか見えない、独りになる方法。発見。
そう、この句集は発見に満ちている。

 一度死ぬ野分となつて吹くために

わざわざ野分になるのに死ぬのだ。野分の次は何になるのだろうか。

ちょっと趣向の違う句も。

 代返のてふてふとなる真昼かな

白痴的な明るさで空ろな青春。
代返が蝶になってひらひらと宙を舞うか。
教室に学ぶものなどあるまい、と気取るペダンティックな輩。そいつの
代返なぞしてやって自ら刹那的で退廃的で虚無的な気分・・・
と勝手にイメージを膨らませます。見てすぐ分かるスナップショットとは
ちょっと違う。「代返」と「てふてふ」を言い訳無しで接続する隠喩。

 牡丹の冬の全裸としてひらく

冬の寒さの中にも、あざやかに紅潮して熱い身体がひらく。
「牡丹」と「冬の全裸」。
言葉と言葉の間に距離を設け、そこに想像の余地が拡がる。
ひらがなの「ひらく」が植物の理科的観察じゃなくて、優しさとやわらかさ
をイメージさせる。


 ながいながい話のあとのところてん

 もの言はぬことの涼しき夕べかな

饒舌の後の沈黙、このページ、2句合わせ調味料で風味豊かな夏の夕。
そして次のページで日は暮れて、、、

 遡るやうに夜店の点りけり

参道の奥の方まで点々と点る夜店の明かりが夏夜に滲む。
過ぎた季節と記憶を思い返し遡るように、縁日の屋台は遠くまで続く。
綴られたいくつもの季節を懐かしむようにして『点る』はこの句で終わります。
ね、いい散歩道でしょ。


以上

CALL what ?

  • 2011/11/26(土) 11:24:57

CALL what?

KAIKOO、先週だった。行けなかった。
http://kaikoo.pop-group.net/index.html
で、
DJ BAKU feat. いとうせいこう、七尾旅人「CALL」



DRUM & BASS SESSIONS 15th. Anniversary
"DRUM & BASS x DUBSTEP WARZ" @UNIT 2011.11.26
http://www.unit-tokyo.com/schedule/2011/11/26/111126_dbs.php
絶対いいよ。MALA、GothTradほか。でも今日は無理だ。
dope!ヤバくて溶ける。



The New Mastersounds
Japan Tour 2011 @ CLUB QUATTRO 2011.12.05-06
ファンクの定義はどうでもよくて、ただカッコいい!
なぜカッコいいのか、の疑問は大事かもしれない。



JUNO REACTOR@@ageHa 2012.01.20
http://www.wakyo.jp/junoreactor_tour.php
聞き応えのあるゴアトランスだった。
マトリックスのサントラ以外、1997年頃からアップデート
していないが、ちょっと行ってみたいな。
Bible of Dreamsよりjardin du cecile 懐かしい。。


以上

I MUSICI 60°Anniversario 12人の騎士たち

  • 2011/11/06(日) 17:41:23

I MUSICI 60°Anniversario

イ・ムジチ合奏団 結成60周年記念ツアーを観てきたのでメモ。
会場で買ったイムジチ60周年記念プログラムを参照して。
オペラシティの公演は高いわ席選べないわで諦めかけたが、ハーモニー
ホール座間、穴場でした。都心からは遠いですが。さて、
ヴィヴァルディ「四季」といったらイ・ムジチ、と勝手に思い込んでいたが、
それはたまたま手元にある「四季」のレコードがイ・ムジチだからだが、
間違いなかったようだ。

イ・ムジチ=音楽家たち
1952年ローマのサンタ・チェチーリア音楽院の卒業生12人により
結成された。編成はヴァイオリン6、ヴィオラ2、チェロ2、コントラバス1、
チェンバロ1で、弦楽作品のレパートリーのなかでも特に18世紀イタリア
の作曲家による作品を現代に蘇らせることを目的とした。
ヴィヴァルディの「四季」を世界で初めて録音したのは彼らだ。
今シーズンは結成60周年を迎える記念の年だ。
******************
イ・ムジチ合奏団 結成60年記念ツアー
2011年10月30日(土)15時開演@ハーモニーホール座間 大ホール

曲目:
ヴィヴァルディ:弦楽のための協奏曲 イ長調 RV158
ヴィヴァルディ: 弦楽のための協奏曲 ト長調 「田園風」 RV151
ヴィヴァルディ:2つのヴァイオリン、2つのチェロのための協奏曲
          ト長調 RV575
          (vi:マルコ・セリーノ、エットーレ・ペレグリーノ、
           ce:ヴィト・パテルノステル、ピエトロ・ボスナ)
坂本龍一:「ラストエンペラー」テーマ
       (1988年アカデミー賞作曲賞受賞)
       〜イ・ムジチ結成60年のために〜
ジェミニアーニ:合奏協奏曲 ニ短調 「ラ・フォリア」

***休憩***

ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集 「四季」 op.8

***アンコール***

ロッシーニ:ボレロ
山田耕筰:赤とんぼ
ヴィト・パテルノステル:ピッツァ・サンタ・ルチア
ヴィヴァルディ:弦楽のための協奏曲「コンカ」
******************

アンコールは4曲も出入りしてその度ごとに陽気なチェロ奏者の
ヴィト・パテルノステル氏が片言の日本語でユーモラスに曲紹介して
始まる。ピッツァ・サンタ・ルチアはパテルノステル氏アレンジによる
コミカルなパフォーマンスで面白かった。「春」を演奏しはじめたかと
思いきや、サンタ・ルチアに修正、気分が乗って立ち上がる奏者を
制した奏者が逆にしゃしゃり出ておどけたり。
そして何よりも「赤とんぼ」。アレンジも演奏も素晴らしくて、泣きそうだった。

一番面白かったのは、イ・ムジチであってイ・ムジチでなかったこと。
私の手元にあるイ・ムジチによる「四季」のレコードは1977年の中古版だ。
これを聞きなれていた私は、今回の演奏とレコードとのあまりの違いに
驚いた。当然のことであった。レコード録音当時のイ・ムジチからは
メンバーも代わって、曲の解釈や表現手法も違っているのだ。
創設当時のメンバーは、もういない。しかしそれでもイ・ムジチで在り続け
ている。イ・ムジチは常に再生を繰り返している。
古いメンバーの経験をもとに、新しいメンバーは自らの演奏方法や表現
方法を練り上げ、作り替えていく。こうして何世代にもわたって聴衆の支持
を得て、その時々の音楽の流行に対応してきたのだった。

ところで、新任コンサートマスターでヴァイオリンのアントニオ・アンセルミ、
ワイルドで自由奔放な弾きっぷり、騎士のよう。
曲の最終楽章を弾き終えた瞬間、皆がそろって弓を上げる姿はまるで
円卓に座ることを許された12騎士たちの剣のようでもあった。


以上


昇天! SYSTEM7 × ROVO@O-East. 5thNov.2011

  • 2011/11/06(日) 13:18:53

SYSTEM7 × ROVO @O-East. 5thNov.2011 いってきた。

まずROVOのソロ、次にSYSTEM7のソロ、その後SYSTEM7×ROVO一緒に。
Hinotori、ECLIPSEはもちろん、System7はアルバム『UP』からPositivNoiseとか、
最近のをたっぷり。ちゃかぽこどんどこぎゅいーんぎゅいーんのワンパターンなん
だけど、憎めない。ライブは初めてだったが凄い。Steve Hillage、Miquette Giraudy
ともにover還暦だが、ご夫婦宇宙人ですか。Steveは楽しそうだったなあ、尺八吹く
みたいにしてギターひょろひょろぎゅんぎゅん、Miquetteもキュートな顔してフロア
ドカドカ爆発させてニコニコしてた。ROVOもあいかわらずすごいタフ。
ためてためてためてためてためてためてじわじわじわじわじわじわわわわあああ、
あ、どっか〜ん、どかどかどかどかばきばきばきばきどかどかばきばきだだだだ
きゅいーんぽぽぽぽふう、う、あ、どっか〜ん、どどどどどどど・・・
ってな感じの、ためてどっかん、またどっかん、てワンパターンといえばワンパターン
かもしれないが、起伏あり変化に富んだトランシーなミニマルが心地よい。
人力トランスとよく言われるが、今回のライブ最後のROVOとSYSTEM7のセッション
で特にジンリキ感じました。何せSYSTEM7はエレクトリックだからね。ボリュームの
ツマミひねるだけでバスドラムフロア揺るがすんだから。そこへきてエレクトリックな
太いキックにも決して埋もれることなく、生のツインドラム腕千切れんばかりに
叩きまくるROVO!ドラムの芳垣安洋と岡部洋一に脱帽。
Thanks SYSTEM7×ROVO!!!