ツイート

富士電子音響芸術祭2010 

  • 2010/08/29(日) 19:37:22

ピラミッドで電子音響だぞ!!
山梨といえば先日南アルプスを縦走してきたばかりだが
次は山岳ではなく音楽。
----------------------------------------
富士電子音響芸術祭2010
FUJI acousmatic music festival(FAF)

poster

会場:ピラミッドメディテーションセンター
〒409-0503 山梨県大月市梁川町綱の上福徳1113

入場料3000円(webからの事前予約のみ)
*当日券はございません。
*人数に達し次第予約受付は終了とさせて頂きます。

開催期日:2010年9月18(土)〜19(日)
18日17:00〜オープニングパーティー
18日19:00開演
19日10:00終演
----------------------------------------

以上

books reminder, 『高校生のための文章読本』ほか

  • 2010/08/29(日) 18:50:52

『高校生のための文章読本』 筑摩書房

最近「読む本がない」と言う幸せな御方がそばにいて、ふとブックガイドとして
思い出し、その御方に紹介してあげた本。

この本自体はずいぶん有名なので敢えて紹介するまでもないかもしれないが、
高校生の受験勉強で主に小論文や国語の参考書として副読本的に紹介される
ことが多いようだ。私も過去に学校で紹介されて出会った本だ。

懐かしんでみせようというわけではない。
むしろ、いま改めて読んでみて、あまりにも新鮮というか当時読んだはずなのに
ほとんど覚えていない、という事にびっくりしている。

冒頭に「この本を使う皆さんへ」と題したイントロダクションで目的が述べられている。
「この本は、「自分の心を自分の言葉で語る」ということを願って、高校生諸君のため
に編集された文章読本です。個々の文例は、模範というより、人間の多様な表現の
世界を示すものです。手帖や別冊とあわせて、自分の表現力を養うための手がかり
としてください。」

良いアンソロジーだと思う。普段自分では手に取らないような本の文章もあって、
視野を広げてくれる。好き嫌いはあるだろうが、70編の文例はどれも短い読みきり
でバライエティーに富んでいる。通常ブックガイドというとある本の紹介文やレビュー、
宣伝文句で構成されるが、この本は文章読本と言うだけあってちゃんと本文が掲載
されているところがブックガイドとして素晴らしい。

各文例の終わりに設問があって別冊で回答しているのだが、この別冊からは編者ら
の思い入れが伝わってきて面白い。熱いのだ。設問の回答書というよりも、それぞれ
の文例の解説・批評文となっていて、各文例の理解を助けるものである。
別に斜に構える必要はなく素直に読むことをお勧めするが、批評的に読もう。

それにしても、この本で既にボルヘス『砂の本』バルト『表象の帝国』
ローレンツ『攻撃―悪の自然誌』
などが紹介されているが、いずれも後になって初めて
出会ったと思っていた良書である。高校生の時にはあまり関心が向かなかったのだろ
うか。一方で、村上春樹や武満徹、高橋源一郎、つげ義春などはこの本で出会ったと
記憶している。大部分は記憶にないが、片田舎の高校生には大変刺激的な本であった
ことは間違いない。

何だか読みたい本が浮かばない、と言う方には特にお勧めである。
ちなみに私の場合、これを機会に筑摩 『高校生のための』シリーズを一通り読んでみた
くなって大人買いしました。

『高校生のための文章読本』
『高校生のための小説案内』
『高校生のための批評入門』
『高校生のための現代思想ベーシック ちくま評論入門』
『高校生のための現代思想エッセンス ちくま評論選』

以上

books reminder 俳句 四合目からの出発

  • 2010/08/19(木) 14:10:42

「俳句 四合目からの出発」 講談社学術文庫
阿部筲人(あべしょうじん)


言葉に呪縛された不自由な思考とそれに無自覚な輩をボロクソに叩きのめす
痛快な俳句入門書。多様な注意・指導というか皮肉とつっこみの評が面白い。

こんな俳句はダメだ、と膨大な量のダメ俳句をダメ・パターン毎に分別列挙し、
500ページも費やしてどうダメかを丁寧に説明してくれる。
だいたい初心者は同じ過ちを犯す。星や灯は必ず「瞬く」、紅葉や赤いカンナ
は必ず「燃え」水や空は「澄む」、帰路は「急ぐ」し自転車は必ず「ペダル踏む」
とやる陳腐。17音しかないのに解っていること言うし説明的だし重複するし酷いと。
 (春近し)(草の)芽(そこに)(萌えて来し) 
例えば 上の句なんて省略しうる部分を()でくくったら「芽」しか残らない。
ダメが分かれば、ダメじゃない最低地点=四合目から出発できるだろうとの趣旨。
ボロクソなのだが、大変善意に満ちた御本である。
ボロクソ振りは一番下に抜粋しておきます。

俳句の本だが、俳句に無関心な人でも面白く読めるはずだ。
言葉で表現を行うことに関心のある人には強くお勧めしたい。
フローベールの紋切型辞典ではないが、他人事では全くなく読みながら赤面
の箇所多数。紋切型は月並と言われ、説明的な俳句はつまらないが、程度の
差こそあれついついやってしまうのだ。紋切型の表現や思考回路は強い。
なぜなら紋切型の表現や思考回路=共通認識は日常的なコミュニケーション
には不可欠でどっぷりそこに浸かって生きているのだから。
会社の業務報告をポエムで表現すると間違いなく怒られる社会にいるのだから。
ところが、その思考回路のままでは文芸たり得ないのである。

特に俳句表現は筆者によれば「理屈や思念を超えた世界」である。そう思う。
はて、その世界は俳句に限った話だろうか。

第七節 具象性 (D)言葉の反逆の項で、「言葉」というものは「実用の為の
道具」であり「通知したり記述したり、説明・判断する為の道具であって、当然
に理屈っぽく」なる、「だから我々が俳句で理屈を超えようとする努力に、言葉
は強烈に反抗します」
「言葉それ自体から、理屈の臭みを払拭する周到な用意が要求されます。こう
して徹底的な反抽象化の活動、逆に言えば徹底的な具象化が、現在直下の
足元から要求されます。」

さてさて、冒頭から何か既視感めいたものを感じていたのだが、1900年東京
生まれの筆者による初刊昭和42年のこの書物において、言語と表現に関して
述べられているテーマは、1936年東京生まれの蓮實重彦『物語批判序説』(※)
そのものではあるまいか。(※中公文庫版は絶版らしい)

『説話論的な磁場、そこで口を開くとき、人は、語るのではなく、語らされてしまう。
語りつつある物語を分節化する主体としてではなく、物語の分節機能に従って
説話論的な機能を演じる作中人物の一人となるほかはないのである』

どうしたらよいのか。『戦略的な倒錯』=『物語的な秩序におさまりがつかなくな
る過剰な失語体験』となること。俳句的には「徹底的な具象化」がひとつの解
であろう。そうして初めて「理屈や思念を超えた世界」と『遭遇』できる文芸作品
となるに違いない。

※ボロクソ振り、ホンの少しだけ抜粋
(「」が特にダメなところ)
----------
【骨董俳句】 
  「花万朶」俳聖の句碑「苔むせる」
  「蝶乱舞」一故人の「夢の跡」
上五も下五も言葉使いの古さ、その奥の、物の見方の古さ、古さの二重奏です。
全句中七の、これほどにベタぼれの、自分を失った態度も現代的ではありません。

  「名月に老松」振りを極めたり
下半分はいやみたっぷりなひねり。松と月の配合の古さは、中国数千年来のものです。

【心理発見俳句1】
  蝶々や「恋はたのしきものならず」
上五と七以下は配合の形式をとっていますが、蝶と恋との連想は陳腐です。
七以下の断定は、偉そうに人に教える口吻です。楽しいとも考えられる恋の反面
だけを、一方的に、自分ひとりの露骨な断定とし、浅い主観を人に押しつけます。

【トンチンカン俳句】
  金魚屋の金魚は人の手に馴れて
こんな人懐っこい金魚がありますか。

  干涸びし咽喉張り上げて残る虫
のどで鳴く秋の虫も新種大発見です。

【うわ言俳句】
  「官能の食傷団扇買はんとす」
薄手な興奮に深刻振っています。官能の食傷、とは意味の通じない、比喩か何か
分からないもの。

【ナルシス俳句】
  春灯に「言わねばならぬ嘘」かなし
  水中花「悲しきことを告げられる」
これらは自分の考えを露出して強引に読者に押しつけます。それだけに、そうした
自分を、いい気になって詩材にしている、という自己満足が厚かましく見透かされます。

【でっちあげ俳句】
  どくだみや黒き衣まとい農夫病む
農夫農婦を殺したり、病気させたり、葬式を出させたりすれば、句会では点が入る
と考える浅墓な作者でした。どくだみとの配合は目立つわざとらしさ、それに黒い着物
を着せます。深刻な顔つきをして見せる作者の腹の内は、意外なほど軽薄です。

他多数
----------

このメモを書いている間に今しがた配達された「WB」によると
次回早稲田文学新人賞募集開始 選考委員決定! 蓮実重彦 とある。すごい偶然!
募集のキャッチにはこうだ。
「前代未聞。誰よりも小説を愛し、誰よりも小説を鮮やかに裏切り語ってみせる文芸批評界
の巨神、いま最初で最後たりうる新人小説を読む。―ここで書かねば、いつ書くというのか。」

以上